日本競馬において、まったく鞭を使わない騎手はいないのが現状です。
その背景として、日本では鞭の使用制限に踏み切ったのが2014年と、海外競馬と比較して遅いことが挙げられます。
ただ、2024年からは鞭の使用を「1レース中連続5回が上限」とルールが厳しくなっており、使わない方向へ動いています。
当記事では、日本競馬の鞭の制限から、競馬における鞭の役割について解説していきます。
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この記事を読んで分かること
- 日本競馬で鞭を使わない騎手はいるのか
- 鞭を使うのが少ない騎手
- 海外競馬の鞭事情
- 競馬における鞭の役割
競馬で鞭を使わない騎手はいるのか
レース中一度も鞭を使わない騎手は少ない
競馬においてレース中に、一度も鞭を使わない騎手は、ほとんどいません。
競馬の鞭は、馬とのコミュニケーションツールの1つであり、鞭を打つことでスパートの合図を送ったり、他の馬のとの接触を防ぐ役割を果たしています。
ただ、騎手によって鞭を使う回数に差があるのは事実です。
日本競馬では鞭の使用は1レース連続5回に制限
日本競馬では、2024年度から1レースあたりに使用できる鞭の回数が連続10回から連続5回へ変更されました。
鞭の使用を制限している海外競馬にならい、日本競馬も鞭の使用を制限する動きが近年見られています。
しかし、日本中央競馬会競馬施工規定の中には「騎手は、競走において、馬の全能力を発揮させなくてはならない」とあり、鞭の制限によって矛盾が発生している問題もあります。
第111条 騎手は、競走において、馬の全能力を発揮させなくてはならない。
(参照)日本中央競馬会競馬施行規程
鞭を使うのが少ない騎手に贈られるフェアプレイ賞がある
日本競馬には「年間に30勝以上し、制裁点数が10点以下」の騎手が対象となるフェアプレイ賞が存在します。
JRAは、鞭の使用制限を超えた選手に制裁点を与えており、制裁点が少ないほど鞭の使用が少ないと言えます。
日本競馬でも、鞭の使用に対する考え方が近年変わってきている状況です。
2023年度フェアプレイ賞を受賞した鞭を使わない騎手一覧
北村友一騎手
2023年度にフェアプレイ賞を受賞した北村友一騎手は2006年に騎手免許を取得し、初年度に14勝を挙げ、中央競馬関西放送記者クラブ賞を受賞した騎手です。
2007年には新潟競馬でリーディングジョッキーを獲得し、2008年には重賞初勝利を含む活躍を見せています。
以降、数回の落馬事故と長期休養を経験しながらも、重要なレースで勝利を収め、JRA・GI制覇やグランプリ春秋連覇などの成就を果たす実力のあるジョッキーの1人です。
競馬ファンからは「机」という愛称で呼ばれることもあります。
田辺裕信騎手
田辺裕信は1984年生まれ、日本中央競馬会(JRA)の騎手で、2023年度も含めて6度フェアプレイ賞を受賞しています。
2002年に騎手デビューし、初勝利は同年新潟競馬で達成。
2011年にはデビュー10年目で初重賞勝利を飾り、2014年にはGI初勝利を含む複数の重賞勝利を挙げ、フェアプレー賞を初受賞。
フリー転向後も活躍を続け、2021年にはJRA通算1000勝、2022年には初のクラシック競走制覇を達成している騎手です。
丹内祐次騎手
2023年度にフェアプレイ賞を受賞した丹内祐次騎手は1985年生まれ、北海道函館市出身のJRA・美浦トレーニングセンター所属の騎手です。
競馬学校を2004年に卒業後、美浦・清水美波厩舎に所属し騎手デビューを果たし、初年度は8勝を挙げ、翌年には27勝を記録。
2006年には重傷を負うが、支援を受け復帰し。2010年には勝利数を伸ばし、2011年には天皇賞(春)でGI初騎乗
2015年には佐賀記念で重賞初勝利を挙げる等、逆境を乗り越えて成果を上げているジョッキーです。
競馬では馬によって鞭を使わない騎手もいる?
武豊騎手はサイレンススズカのとき鞭を使わない
武豊騎手は、サイレンススズカに騎乗しているとき、初騎乗した香港カップ以外で鞭を使っていないと言われています。
元々、武豊騎手は鞭を使うのが少ない騎手としてフェアプレイ賞も何度か受賞しています。
サイレンススズカほどの実力のある馬であれば、騎乗技術で合図を送ることができたのかもしれません。
ルメール騎手はレース状況によって鞭を使わない
ルメール騎手は、アーモンドアイに騎乗した際に「ムチを使う必要がなかった」とのコメントをレース後残しています。
ルメール騎手は、騎乗した際、スパート時に必ず鞭を使うわけではなく、レース状況によって鞭を使わないこともあることが分かります。
ただ、2023年5月6日(土曜)アメリカ合衆国のチャーチルダウンズ競馬場で行われた第12競走ケンタッキーダービーにおいて鞭の使用超過によって騎乗停止処分を受けたこともあります。
ルメール騎手は、レース展開によって鞭を使い分けるジョッキーと言えます。
海外競馬には鞭を使わない騎手もいる?
フランス競馬では9回以上鞭を使ったら失格になる
フランス競馬では、騎手が1レースあたり9回以上鞭を使用した場合、失格となるルールを設定しています。
騎手が同一レースにおいて、9回以上鞭を使用したと裁決委員が判断した場合、当該騎乗馬は失格となり、レースが確定します。
(参照)JRA フランス競馬のルール
日本競馬では、鞭の使用超過によって騎手が制裁を受けることはありますが、馬が失格になることはありません。
フランスでは、鞭の使用について日本よりも厳しいルールが決められています。
イギリス競馬では1レースあたり鞭の使用は7回まで
イギリス競馬では、鞭の使用を平地競走で7回、障害レースでは8回までとしています。
さらに、鞭の使用回数の上限より4回多く使うと失格となり、GIなどの主要競走で違反すると28日間の騎乗停止処分を科すなど、騎手への制裁も行われます。
フランスも含め、ヨーロッパでは馬への鞭の使用を制限しているのが分かります。
競馬における鞭の意味とは?
競馬における鞭は合図を送るための道具
日本競馬において、鞭とは馬へ合図を送るための道具とされています。
鞭は、長さ77センチ未満、衝撃吸収材を使ったパッドを装着したものでならないという決まりがあります。
競走騎乗では、長さ77センチ未満で、衝撃吸収素材を用いたパッドを装着したものでなければ使用できない。
(参照)JRA 鞭
馬の性格によって、鞭を使用しなければ早く走れない場合もあるため、競馬にとって鞭は必須の道具とも言えます。
競馬で鞭を使う理由とは?使わない騎手は勝てない?
馬にスパートの合図を送るため
騎手が鞭を使う主な理由の一つは、レースの最終段階で馬にスパートの合図を送ることです。
鞭による合図は、馬が持っている潜在能力を最大限に引き出し、ゴールに向けて速度を上げるよう促します。
鞭は、ただ力を加えるための道具ではなく、騎手が馬に特定の指示を伝えるための細やかな技術を要する道具として用いられます。
馬が内外によれるを防ぐため
馬がレース中にコースの内側や外側に逸れることは、安全上のリスクを高めるだけでなく、レースの結果にも影響を及ぼす可能性があります。
鞭を使うことで、騎手は馬が望ましくない方向に逸れるのを防ぎ、より安定した走りを促すことができます。
このようにして、鞭は馬を正しいコースに保ち、他の競走馬や騎手との接触を避けるための手段としても役立ちます。
効果的な鞭の使用は、馬と騎手の間の密接な協調を要求し、レースの安全性と公平性を確保する上で不可欠です。
競馬における鞭の利用による制裁について
日本競馬では、2014年より鞭の使用超過が制裁対象となりました。
鞭の使用については、国際競馬統括機関のガイドラインに沿って、以下のルールが設定されています。
- 馬が怪我をするほどの強い鞭の使用。
- 肩より上方に腕を上げての使用。
- 反応のない馬に対し、必要以上の使用。
- 明らかに着順の大勢が決した後に、必要以上の使用。
- 入線後の使用。
- ひばら(脇腹)への使用。
- 過度に頻発しての使用。
- 頭部若しくはその付近に対しての使用。
- 鞍より前方に逆鞭(フォアハンド)での使用
日本競馬において鞭の制限が設けられていますが、JRAでは過度に鞭を使用したときに制裁の対象となっているのが多いです。
JRAでは、1レースあたりの鞭の使用を連続5回までとしています。
連続使用の基準としては、2完歩以内とされており、2完歩以上間隔を開けていれば制裁の対象となりません。
競馬の鞭の打ち方の種類
見せ鞭
見せ鞭は、馬を物理的に触れることなく、鞭を使って視覚的な合図を送る技術です。
見せ鞭では、騎手が鞭を振るう動作を行うことで馬に意識させ、スピードアップや注意の喚起を促します。
実際に馬を打つことはなく、馬の集中力を高めるための心理的な刺激として機能します。
見せ鞭は、騎手と馬の間の信頼関係を基にした非接触のコミュニケーション手段として重要視されています。
肩鞭
肩鞭は、騎手が鞭を使って馬の肩部分を軽く叩くことで、追加のスパートを促す技術です。
肩鞭は、馬に対して直接的な物理的刺激を与えることで、集中力を引き出しや意欲を促す効果があります。
肩鞭は、特にレースの終盤で馬の最大限のパフォーマンスを引き出すために用いられることが多く、騎手にとって精密な技術とタイミングの理解が求められます。
手鞭
手鞭は、騎手が自身の手を使って馬の首の後ろや肩に軽く触れることで、スパートや方向転換の合図を送る方法です。
物理的な接触を用いるものの、肩鞭やその他の方法に比べてより優しい刺激を与えます。
手鞭は、馬への信頼と尊重を保ちながら、必要な指示を効果的に伝えるために用いられます。
精細なコントロールと馬への深い理解が必要とされる技術です。
出鞭
出鞭は、騎手がレースの開始直後に馬を促すために使用する鞭の打ち方です。
騎手は、スタート時に馬の前向きな動きを刺激し、集中力を高めるために、鞭を軽く使います。
出鞭は、レースの初期段階で馬の注意を引き、有利な位置を確保するための重要な役割を果たします。
出鞭の使用は、馬のパフォーマンスに積極的な影響を与えると同時に、レースの流れを良い方向に導くために繊細さが求められます。
馬車鞭
馬車鞭は、騎手が馬の側面に沿って鞭を使う技術で、特に馬が集中を欠いたり、指示に従わない場合に効果的です。
馬車鞭では、鞭は馬の側面に軽く接触し、馬を正しい方向に導くための刺激を提供します。
馬車鞭は、馬とのコミュニケーションを強化し、レース中の望ましい行動を促すために用いられます。
騎手は、この技術を用いることで、馬の注意をレースに集中させ、コース上でのパフォーマンスを最適化することができます。
風車鞭
風車鞭は、鞭を大きく振り回すことで馬に追加の動機付けを与える打ち方です。
風車鞭は、騎手が鞭を空中で回転させ、それによって生じる風の感覚や音を使って馬の意識を高めることに重点を置いています。
風車鞭は、視覚的および聴覚的な刺激を馬に提供し、レースの決定的な瞬間において馬のスピードと集中力を引き出すことを目的としています。
騎手にとって、この方法は、馬の注目を引きつけ、競走中に最大限の努力を引き出すための効果的な手段となります。
まとめ
日本競馬では、鞭の使用制限を行ったのが2014年と最近のことであり、鞭を使わない騎手が少ない状況です。
ただ、海外競馬をならい、鞭の過度な使用に対して制裁を行うなど鞭を使わない方向へ舵をきっています。
鞭の使用は、馬の能力を発揮するために必要だという声もある中で、今後どのような動きがあるのか注視する必要があります。
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